執筆・講演

東京都社会福祉法人セミナー
2005. 7.13

社会福祉法人経営者に期待すること
去る6月16日(木)東京都社会福祉協議会 社会福祉法人協議会が開催され、4月より同協議会 会長に就任した大竹美喜が記念講演を行いました。講演には社会福祉法人を運営されている理事長、理事の方約150名が参加。大竹の会長としての思い、決意とともに民間会社の経営をした経験からなる経営哲学・理念、手法を紹介。そして大竹のもつ民間経営のノウハウを福祉法人経営に役立ていただき、よりより福祉事情に役立てていいただきたいと理事長の皆さんへの期待を寄せられました。また、自身のボランティア活動についても語り、福祉のありかたについて提言しました。

東社協会長という職への想い
大学を卒業し、農業指導員を目指してアメリカに留学したとき、洗礼を受けクリスチャンとなりました。洗礼を受けた教会では、ボランティア活動が積極的に行われており、アメリカでは日常的にボランティアが定着していることを知りました。第二次世界大戦直後に進駐軍の兵士や将校と結婚しアメリカに渡った多くの日本女性、いわゆる「戦争花嫁」が夫に捨てられ悲惨な暮らしをしていたのを日本に帰国させるための募金活動に、私は、アメリカでの生活に溶け込むためにも一生懸命精を出しました。これが私が始めて体験したボランティア活動であり原点でもあります。その後、ボランティア活動とともにキリスト教の布教活動も行っていたことから、宣教師として人生を歩むという選択もありましたが、諸事情から日本に帰国することとなり、さらに、さまざまな紆余曲折を経た後、縁あってアフラックに出会い、日本社を創業いたしました。

幼い頃から、父母から繰り返し教えられていた私は「世のため人のため」になる何か、自分が好きで好きでたまらない仕事、を求めていました。アフラックの保険という仕事はまさにその私が求めつづけていた何かだったのです。人々にとって本当に必要な「がん保険」という商品を社会に紹介し、真にお客様に役立てていただくことが私の使命であると確信し、この仕事に取り組んだのです。保険の販売を通して、常に患者様、そのご家族、医療に従事している人々と接点を持ち、「人と人が互いに支えあうための仕組み」である保険を提供する立場から社会福祉を見つめ、その重要性を実感して参りました。このように私自身のボランティア活動の体験や、保険会社の経営を通じて感じていた、よりよい社会福祉を目指したいという永年の想い、生涯を通じて社会に貢献したいという願いから今回東社協の会長をお引き受けさせていただきました。

アフラックの創業
アフラックの創業を決意させたのは、患者様とその家族の声でした。がんと必死に格闘する患者様や看護する家族の方々とお目にかかり、心身ともに追い詰められ、辛い状況におられる様子をお聴きしたり、闘病記を読むことで、少しでもその負担を和らげ、ニーズに合った真に役に立つ商品を広めなければならないという想いが膨らんで、周囲の反対にもかかわらず決断をしたのです。

アフラックでの経営
 経営は生き物で環境変化に適応していくことが必要ですが、一方で哲学や理念のような「変えてはいけないもの」があり、これを貫いた経営をしたことで今日があると考えております。経営の指針とした項目は次の5つです。
1.新たな価値の創造
2.使命感の共有
3.アフラックは誰のものか〜原点を問う姿勢を忘れず
4.日米の経営の融合
5.全員参加型組織

 

私の経営哲学
 経営者として私が貫いてきたこと、言い換えれば、私の経営哲学は大きく4つです。
1.卓越した何かを持つ
2.真実を見極める目を持つ
3.失敗例から学ぶ!)失敗を恐れない
4.企業は人なり!)人を大切にすること

社会福祉法人経営者の皆様への期待
社会福祉と一言で申しましても、多岐にわたっています。また、時代、地域によって利用者の求めるニーズは異なってまいります。私がアフラックを創業した時、患者様やそのご家族の話を聴いて回りました。また、医療従事者や専門家のお話も労を厭わず出かけて行って、聴いて学びを得ました。これと同様に、皆様の事業所や施設でもまず現場の利用者・従事者の声を聞いていただきたいと思います。そして、その声をより掘り下げていただくことで、それぞれの団体や施設の特色をどんどん出していっていただければと思います。このような活動は民間企業が生き残るため、また新たな価値を創造するためには必要不可欠な行動であります。
また、皆様には尊い仕事に従事しておられる使命感を職員の皆様と共有していただきたいと思います。そして、職員のお一人お一人を大切にし、その能力を生かせる仕組みを作っていただきたいと存じます。また、失敗から学ぶ姿勢を大切にする職場にすることにより、従業員が自ら考え、自律の精神を持ち、当たり前のことを当たり前にできるようになり、職場に生き生きとした好循環が生まれると思います。

東社協会長としての取組み
東社協の会長として、時代にマッチした組織改革を行うことで、都民の皆様にとって利用しやすい福祉政策を提言してまいりたいと思います。この改革には大きな壁、山が立ちふさがってくることが予想されます。しかし、アフラックを創業したときの決意と同じ思いで、正面から突破する意気込みで邁進いたしたいと思います。そして全国の社会福祉協議会の手本となるよう、東京都独自の素晴らしい福祉サービスを提供いたしたいと思います。

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