執筆・講演

独立行政法人教員研修センター講演
2008年8月29日

「我が経営哲学」

まとめとして1つ、大切なことを繰り返して申しあげたいと思います。それは、「真理の探求」です。

 変化の時代だからこそ、情報過多の時代こそ、真理を追求しようとする姿勢は大事になります。なぜなら、真理は、なかなか目に見えないものだからです。見えるものは、全て不確実だと思います。

 しかし、見えないものを見ようとする努力。例えば、当社は、保険会社です。「生活者の心を読む力」が、社員になければいけません。見えないものを見ようとする姿勢は、さらに、自分の軸足でしっかりと立とうとする習性が身につきます。追い詰められた時に、どう判断し、どう行動ができるでしょうか?そこに考える力、人間力が求められます。企業において何が経済的価値を生み出すのか。真のリソース(資源)となるのか。それは、人そのものです。人しかいないのです。個性と独自な経営資源を持った個人なのです。

 情報集団としての能力を持ち、創意工夫で新しい価値を創っていく。有能な個人の中で、知的生産性の高い人。知財こそが新たな経済の唯一希少性をもった資源をどれだけ会社が育成できるのか?は人間の育成で勝負が決まるのです。それは、言い換えれば、企業体とは、「知の創造体」でなければいけないということです。しかし、知の創造体になるためには、「企業は、真実を追及しなければいけない」という考えです。

 実際、私は、長年、経営者として「真理の探究」を心がけるように社員に指示してきました。その理由として、

 1つは、社員の「個の確立」、「知の創造」につながり、2つ目は、会社としては、「自分のオリジナリティ」が引き出せることです。それによって、価値創造と高効率経営による企業競争力が強力になるのです。

 アフラックはアメリカの保険会社です。創設以来、日本とは異なる経営のルールや価値観に最初はとまどうことも多くありました。しかし、その都度、問題に直面するたびごとに、「真理とは何か?今、見えていないものは何か?」という態勢を維持した結果、問題を解決してこれたのだと思います。

 こういう姿勢を貫くことで、良いものをたくさん学びました。それを経営手法に反映させ、結果として、オリジナリティを持った、世界のどこにもない、オンリーワンの会社を創ることができました。自分で、自分の教科書を作ったようなものです。ナンバーワンを目指したのではなく、オンリーワンを目指したことで、今日の当社の成功があると思います。
 そして、もちろん、これからも、この成功に甘んじずに、創造的破壊を繰り返していく所存です。

 教育現場のリーダーでいらっしゃる皆様にも、このことは当てはまるのではないかと思い私自身の経験を述べさせていただけばと思います。

 私は何度も失敗し、挫折を繰り返してきましたが、困難は、それに立ち向かう能力を生み出し、失敗は多くのことを学ばせてくれる成功への布石と信じ、いつも正面から向き合って乗り越えてきました。自分の夢を実現させる人が一人でも多く誕生すれば、社会が変わってきます。そうなれば日本の将来、世界の未来は明るくなると思います。本日お集まりの皆さんはリーダーとして、若い皆さんの夢の実現に向けて精一杯手助けしていただきたいと思います。そしてご自身も夢を持ち、夢の実現に向けて励んでいただければと思います。

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