執筆・講演

いたばし政策塾 2009年 第一回 公開講座
2009年5月22日

「民間経営者からみた板橋区の地域経営のあり方」

トップのリーダーシップ
 板橋区をより良くするためには、今まで語り尽くされた言葉でありますが、「トップのリーダーシップ」にほかなりません。これは、区政のみならず、民間経営にも当てはまることです。
 それと、併せて市民参加の市民型社会を創ることです。官から民、そして民から民へ。区民、行政、リーダーが三位一体となってすすめなければなりません。今、一番重要なことは、日本人が「個」の確立を目指すことです。言い換えれば、官と民の関係のあり方を変革することです。「保護社会」から「自立社会」に脱皮することです。

 

地域力を高めるには
 これからは、地方の時代、地方自治の時代と言われています。名古屋市長になった河村たかし氏は、減税を選挙公約にし、支出を少なくしなければ無駄はなくせないと訴えました。
地方自治は民主主義の学校とも言われていますが、それを支えていくためには、政策形成能力の向上が欠かせません。計画行政を裏打ちする政策形成能力が必要なのです。石原信雄さんは、絶えず問題意識を刺激し続けていかないと、政策能力は低下してしまう、トップの役割が非常に重要であると述べています。
5人の総理に仕えた古川貞二郎さんは、東社協の私の後任会長ですが、規制緩和政策は格差社会を広げるので、進めるべきではないという考えを堅持しておりました。改革についての私の私案を総理には見せなかったようです。当時、私としては納得できませんでしたが、今になると成る程という気持ちでいます。
 地域を自立させ繁栄させる力、すなわち地域力を高めていくにはどうすれば良いか。
 それは、ブランディングと風土づくりです。風土は共感であり、他と差別化していくことでもあります。具体的には、区民が感謝できることを提供するということです。倫理と実利の風土を醸成していくことです。真のブランド力は、倫理を実践してこそ初めて発揮されるのです。ふたつは別物ではないのです。
 全員参加型のシステムをつくることです。楽しく参加する仕組みづくりが重要です。
 例えば、青森県のあるまちでは、りんごの収穫期に合わせて、「りんご早落としコンテスト」を実施しています。そもそも、りんごの収穫は重労働であり、人を雇えば、アルバイトでも1日5千円はかかってしまいます。そのため、コンテストを開いて、人件費ゼロで、町おこしにもつながっています。
 繁栄し続ける鍵は、現場にある。現場主義です。成功の要因は、現場の声を聞いて実践していることにあります。
 東京大学総長だった小宮山氏は、現場力の大切さを教職員にもっと指導したかったと言っていました。現場の声を聞き、そして実践することが大切であると。
 また、存在感を示すことも必要です。砂鉄を引き寄せるようなマグネットを持つことが必要です。具体的には、「自立」とともに「自律」をすることです。そこから強い信念が生まれます。次世代は、地域間競争の時代です。一人ひとりがまちづくりに参加していくことです。その先には、地域への配当として、減税も行われるかもしれません。教育、医療、各種行政サービスがより充実していくことになるでしょう。
 仕事、事業は、あまねく「公」という精神が必要です。
 地域振興と自治体革命は、日本人一人ひとりの内に宿っているのです。国は最早、アイデアを持っていません。板橋区は、区内に存在する価値を磨き、創意工夫して、?’m ?n・A Betterの精神で行動することで、将来の発展ができると思います。全国参加の地域興しをされ、全国のモデルとなることを願ってやみません。私も一区民として、区政に貢献してまいりたいと思います。

執筆・講演一覧へ戻る