執筆・講演

九州・アジア経営塾「第6期碧樹館
2009年7月25日

「揺れても沈まず」
ー 時代の変化を勝ち抜くためのリーダーの心構え ー

結論
さて、本日の結論から申しあげますと、リーダーとは「リスクの請負人」であり「孤独」であるということです。昨年のリーマンブラザーズの倒産以来、世界が混沌とし、変局の時代を迎えました。こうした時代であるからこそ、真のリーダーが求められるのだと思います。
組織のトップは孤独です。日々様々な判断を迫られ、深く悩むこともあり、誰にも相談できないこともあります。だから眠れない日が続くのは当たり前です。そんなとき、人によっていろいろな解決の仕方があると思います。禅寺に篭る人もいるかもしれません。そんなとき、迷ったとき、私は原点に返ります。

1.静かな時間を持つ
 1日のスタートの朝、心を鎮めて自分の心の中に響いてくる声に耳を傾ける

2.4つの道徳条件
「正直」「純潔」「無私」「愛」に自らの行動を照らし日々の心の改革を行うことです。

リーダーとは
・リスクの請負人
お陰様で今年アフラックは35周年を迎えますが、創業してから現在まで本当に数えきれない苦労がありました。しかし私はアフラックの仕事は、「世のため、ひとのためになる仕事」という強い思いをもって創業いたしました。その思いは今でいう「社会起業」です。アフラックは私利私欲ではなく、「愛」と「正義」「社会の矛盾」に挑戦したということをご理解いただきたいと思います。この仕事は必ずやお客様のためになる。将来絶対に評価され、感謝されることを信じて、リスクを覚悟し経営を行ってきたからこそ、今日があるということを皆さんにもご理解いただきたいのです。

・孤独
冒頭の結論でもお話させていただきましたが、組織のトップは常に孤独です。常に先を見つめ、冷静な判断をするために私は原点に返るとご紹介いたしました。私は毎日時間をとって自問自答しておりますが、それを支えてくれるのは古典です。世界のリーダーの多くも古典から学んでおります。私は古典とは、より善く生きるための昔の人からの「手紙」であると思います。

大竹流リーダーシップ
・社長の役割 ー リミットレスリーダーシップ
アフラックはご存知のように、アメリカに本社がありますので、アメリカ流経営に仕方を多く学ぶことができ、ベストプラクティクスとなりました。
アフラックを創業し、当初11年間は副社長の職にありました。会社のことは社長に任せ、私は営業を強化することにあったからです。そして米国本社から年末社長に就任するように命じられ、就任する一ヶ月前、アメリカ本社の創業者に訊ねられたことがありました。「社長として大切な仕事は何だと思う?」と質問されました。皆さんは何だと思われますか?私は「利益を出して本社に送金すること」としか答えられませんでした。しかし、答えは何だったと思いますか?お分かりの方いらっしゃいますか?答えは「次のリーダーを選ぶこと」でした。これには本当に驚きました。

リーダーの仕事とは、次のリーダーを選ぶことなのです。このことは、アフラックも何人かの社長を迎えたことで実感しております。人間は、いずれ死を迎えますが、企業は、衰退することは許されません。滅びさせてはいけないという一心で、企業の経営者は、大きな努力をしてきたわけです。
つまりリーダーには、企業を永遠に存在させる責任がある。そういう責任意識をもたないリーダーは、リーダーとは言えないのです。

・アフラックを潰す研究 −最悪のシナリオを常に描く
あるとき米国本社から「アフラックを潰す研究」をしろとの指示がきました。経営もうまくいっているのにどうしてか不思議に思いました。しかし、研究をしてみるとその指示の意味がよくわかりました。つまり、うまくいっているときほど現状を理解し、次なる対応を研究しなければならないのです。
リーダーは神頼みでない、最悪のシナリオを常に描くことも大きな役割なのです。とかく経営者は今のままでありつづけたいと願いが込められていることに失敗が生まれるのです。自分、自社がライバルであるのは当たり前のことなのです。

リーダーとなるために
・自己改革 ー自分が変われば周囲が変わる
リーダーとして必要なことは、まず、自己改革・自己革新です。自分が変われば周囲が変わるのです。一人一人が改革者になる。先ず自分自身が精神革命し変化しなければ、社員を引き連れてはいけません。心の中に革命を起こさなければなりません。

・自分が判断する心構え
物事を判断するとき、常識としてもっていることがいいかげんであると気付くことが大切です。信じ込んでいることが多くありますので、考えて考えて考え抜くとともに、その力を身につけることです。そして誰が正しいのではなく、何が正しいかを見抜く力、判断できる力を養わなければなりません。

それにはセルフトーキングによって可能となります。「自己対話」で何かを見つけ出すのです。自己対話を1年継続しておこなったら大きな差が生まれます。自己対話することで問題に対し

真正面から取り組む ー どんな困難でも打破できると信じること。言葉が大切
逃げない ー 後ろ向きの言葉は発しない。弱音は吐かない。過去の話はしない。

その結果、どんなことがあっても解決する能力が養え、正しい判断ができ、リスクを回避できるのです。自力本願でなければなりません。私たちビジネスにおいては全ては結果まなのですから。

先ほども考える力について触れさせていただきましたが、とことん深く掘り下げて考える。根っこの部分を固めることが重要です。ここが曖昧だと事業は長持ちせず、ムードに流されてしまうからです。
まて、人間は表面しか見ず、ミスリードしてしまうことが多くあります。根が確認できなかれば過ちを犯す危険性があるのです。
考える力は自分で導き出すリハーサルをしなければなりません。それには日々の訓練しかありません。そして常に考える何が正しいか、何が真理・真実であるか見極める目をもつことです。
元NHK会長のさんと5年前ゴルフをしたとき、海老沢さんのおっしゃっていた言葉が非常に印象に残っています。「情報過多とは情報過疎でもある」と。実はそれが真実でありマスメディアに出ているものはすでに本当の意味の情報ではないのです。

・哲学理念が必要になる
こうした判断力身に付けると同時に、それを裏付けるには哲学を持つことです。
私はアフラックは「世のため人のため」になるという信念のもと創業し、事業をおこなってきました。

これは企業においても同じであり、アフラックにはー Aflac Wayという哲学をもっています。なぜこうした哲学、文化が必要であるかと申しますとこれらは物まね、コピーはできるが精神をこめることはできないからです。つまり、真似できないのです。ですからオリジナル企業文化をつくることが重要となます。

・逆向きの思考 ー自分自身を客観的に見る
リーダーは明確なビジョンを指し示すことが重要であるとお伝えしましたが、そのビジョンを実現させるために私は逆向きの思考、発想で考えます。
大きな目標を達成するために、今日、明日、来年のことを考えるとあまりにもやるべきことが多すぎて、頭が痛くなってしまいます。現在から先を見るのは無理です。自分自身を客観的に見て10年先、ゴールから逆算してどのようなステップを踏めばいい考えるのです。そうすることで軸がぶれなくなるのです。

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