執筆・講演

国際経営者協会寄付講座(専修大学) 2010年7月8日

テーマ「持続可能な社会」
与えられるより自分で選んだ人生〜 大竹美喜の人生大学 −夢を実現するまで 〜

1.夢の実現に向けて
逆向きの思考 −自分自身を客観的に見る

 私は小学校の通学の往復に、人生のリハーサルをしていたとご紹介いたしましたが、現在でも夢の実現に向けて歩んでおります。
 そこで、私の手法について、ご紹介したいと思います。夢やビジョンを実現させるために私は逆向きの思考、発想で考えます。20年、10年先から見るのです。
大きな目標を達成するために、今日、明日、来年のことを考えるとあまりにもやるべきことが多すぎて、頭が痛くなってしまいます。現在から先を見るのは無理です。自分自身を客観的に見て10年先、ゴールから逆算してどのようなステップを踏めばいいと考えるのです。そうすることで軸がぶれなくなるのです。

2.夢を実現した人々
『登れない山はない』― カン博士の凄まじい人生に感動

 1人は、視聴覚障害を克服し、信仰と夢を追い続け、ブッシュ前大統領障害者政策補佐官を務められた韓国人のカン・ヨンウ博士であります。博士にお目かかる機会をいただくとともに、 「登れない山はない」という著書を読ませていただきました。
 カン博士は、中学生の時にサッカーやっていて失明し全盲になってしまいました。お母様は、医者から再起不能と聞かされて、脳内出血で亡くなってしまいます。お父様は既に亡くなられていいたので、残されたお子さんはご本人含めて4名いて、一番上がお姉さまで、家族の世話をするために学校を辞め、ソウル市内の繊維工場で働いていました。
 しかし、ご病気で倒れ、亡くなられ、カン博士が2人の弟の面倒をみなければならなくなりました。しかし、ご自身は目が見えなく、働くことができなかったため一人は孤児院に預け、もう一人は鉄工所の住み込みに入れられました。

 その後、ご本人は苦学して延世大学を2番目の成績で卒業しアメリカ留学を計画したのです。ところが、韓国では全盲は留学はさせないという国の決まりがあり、アメリカ大統領に直訴し、韓国人で初めて全盲の方がアメリカに留学されました。
 アメリカでは必死になって頑張られ、現在、男のお子さん2人いるそうですが、一人は、子供の頃から父親の目を治そうと眼科医になられ、今はジョージタウン大学の眼科教授をされています。もう一人は弁護士になって、アメリカの上院議員の顧問弁護士をされていらっしゃいます。
 このようにカン博士は、凄まじい人生を歩まれてきました。こういう生き様に出会いますと、いかに私が不甲斐ないかと反省させられ、勇気をもらいました。

逆境の中にこそ夢がある ― 蒲島邦夫知事

 もう1人は現在、熊本県知事の蒲島邦夫さんです。蒲島さんとは先ほどご紹介させていただきました、全国の県と「がん対策推進」の協定を結ぶため昨年お願いにあがり、お目にかかったのですが、本当に苦労をされ、その苦労の中からもご自身の夢を実現されております。『逆境の中にこそ夢がある』という著書を書かれており、農協職員、農奴、ネブラスカ大学入学、ハーバード大学博士、東京大学教授、そして現在は知事と。まさに、映画に出てくるようなアメリカンドリームを実現された方です。今月末、協定式のため、知事にお会いするのですが、大変楽しみであります。

「君はベストをつくしたかね」 カーター氏エピソード

 いかがでしょうか。最後にエピソードとメッセージを皆さんにお送りしたいと想います。

 元米国大統領のジミー・カーター氏は皆さんご存じだと思います。カーター元大統領とは、ジョージア州の知事をされていたとき、米国創業者のエイモス氏に紹介され、以来家族ぐるみのおつきあいをさせていただいております。
 カーター氏は、大統領を辞められたあとも、ボランティアなど精力的に活動され、大統領経験者としてはじめて北朝鮮を訪問し、その功績によりノーベル平和賞を授章されています。カーターさんにお会いしたとき著書『なぜベストをつくさないのか』をいただきました。

 その内容とは、若い士官時代に核開発計画に選抜された時に受けた、海軍提督とのインタビューでのエピソードです。
 提督に「海軍士官学校を卒業した時、君のクラス順位は?」と聞かれて、彼は、「1946年の卒業時に、120人中59位でした」と答えました。すると、提督は、「何故、ナンバーワンにならなかったのか?」と聞きかえしました。カーター氏は、しばらく考えて、こう答えました。「ナンバーワンを目指すほど、一生懸命がんばらなかったかもしれません。〈ベストを尽くさなかったかもしれません〉」提督は、尋ねました。「なぜだね?」
カーター氏は、言葉につまりました。提督のまっとうな質問に、まっとうに答えることができなかったそうです。海軍士官学校に入るというチャンスが目の前にある。それは、疑いもなく、彼の今までの人生の中で最大のチャンスでした。しかし、そのチャンスを最大に活用したのだろうか?
 このことが、ある決心をさせました。それは、今後、どんな大きなチャンスをも、絶対に逃さないということを。つまり、「常にベストをつくす」ということです。
 以来、私も皆さんにメッセージを求められたときは、このメッセージを贈っております。
是非皆さんも「ベストを尽くして」夢を実権させてください。日本の次世代を担う皆さんのご活躍に期待いたしております。

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