執筆・講演

広島みどり信用金庫 2011年1月15日

「仕事で本当に大切にしたいこと」

1.The Aflac Way 〜心に寄り添うサービス

 組織風土の形成の根源は、組織構成員全員が共有する価値観であります。アフラックでは創業25周年を記念して、私たちが大切にしたいことをPIAS SHOKとしてまとめました。こうしたことは、企業にとって不変なもの、組織風土の憲法、バイブル、要諦となるのです。
 また、当社の企業風土は創業以来「火の玉集団」として、常に内発的な動機作りに努力しております。

The Aflac Way

 広島みどり信用金庫様は創業来90年の歴史があり、基本方針に「中小企業並びに国民大衆のための金融機関として、産業・経済の繁栄に貢献することを目的とする」ことを第一に掲げられ、経営方針には「会員並びに預金者の保護に万全を期し、金融機関として信用を高める」「金融を通じて地域社会に奉仕する」ことを一、二にされています。

 アフラックには、「人々を大切にすれば、ビジネスは後からついてくる」という言葉があります。この言葉は米国本社の経営トップが50年間、代々大切にしている創業時の志です。
 この「人々」とは、アフラックを支持してくださる方々で、すなわちお客様、商品をご紹介いただいている金融機関の皆様、社員、株主、地域社会などすべてを示します。ひたすら他者のため、公益のために働くことです。
 「家族に示すような心遣いや敬意、公平・公正さを持って接すれば、必ずビジネスはあとからついてくる」というこの精神は日本社でも受け継がれ底流に流れています。どんな時代となってもぶれてはならないものが、企業哲学であり文化です。
 皆様の仕事で言えば、ご相談に来られたお客様に、最新の情報をお伝えし、個人、ご家族にあったライフプランのアドバイスをする。そのことによりお客様は、満足され、また感謝されるということではないでしょうか。

 アフラックではどのような創意工夫をしたか具体的にご紹介しますと

◆給付金のお支払い − 会社名を伏せて

 給付金のお支払い時には細心の注意を払いました。今では多くの方ががんであることを告白されておりますが、創業当時は、医師によるがん告知をしておりませんでした。そのため、ご本人にわからないように電話をするときも社名を名乗らない。個人名で電話をする。書類送付の封筒も社名入りのものでなく普通の封筒で送るというような心に寄り添った対応の創意工夫をしました。

◆保険金・給付金のお支払い − 1日でも早く

 がんを告知され、治療、入院となるとまずその費用が必要となります。迅速なお支払いをすることで経済面の負担、不安を解消いたしました。

◆人間性を磨く −アフラックスピリット

 このように、ご契約いただいた保険で経済的側面をカバーすることができます。しかし、アフラックの営業社員、そして当社の商品をご案内いただいている金融機関の皆様には、患者さん、そしてご家族の精神的支え(こころのケア)となり経済問題と幸福について、良き相談相手となっていただきたいのです。
 それには、常に、人格的な「人間力」を「自己啓発」により磨かなければなりません。お客様から信頼される人格がなければなりません。創業以来現在まで、私が社内・社外で一貫して強調し続けているのは、人の成長・育成には「人間力」を磨く以外にないということです。

 なぜなら保険は人と紙(契約書)だけが事業を支えているといえます。いかにIT化が進んだとはいえ、それを運営するのは人であります。まさに、どんな時代、企業であっても、カギとなるのは「人」であるということです。真にビジネス界で生き残るためには、ビジネスデータや営業テクニックを駆使するだけでは、駄目だからです。ビジネスは人間対人間なのです。
 そのため私はアフラック創業の時、思想・哲学の必要性を説くために、アフラック魂、人間を磨くことの大切さを訴えるため、娘の家庭教師をしていただいていた、学習院高等学校の工藤張雄先生に「生きがいについて」と「自己啓発」小冊子を作成いただきました。さらには約款の勉強法も書いていただきました。

 このようにお客様を経済的悲劇から救うだけではなく、心に寄り添うサービス、必要なときに親身に接する、対応することが、創業以来アフラックが大切にしてきたことなのです。

 このような、ことは、皆様が使命感と誇りをもってすれば、泉のごとく出てくのでするのです。
 そして、そのような人を育てることが大切になるのです。そうした人材育成の重要性、人材育成により成功に導いた、韓国、そして国内でもそれにひけをとることなく、地方自治を活性化している事例をご紹介し、地域経済をになう皆様のご参考としていいただきたく、
 『奇跡を呼びこむ、人』を刊行いたしました。ご興味がありましたら是非、ご一読いただければ幸いです。

 なぜこうした哲学、文化が必要であるかと申しますと、これらは「物まね」や「コピー」はできるが精神を込めることはできないからです。つまり、真似できないブランドだからです。ですからオリジナルな企業文化をつくり、語りつないでいくことが重要なのです。
 50年たった今、米国、そして日本社でもこの哲学が最高の価値として全社に浸透し実践しているのが世界にひとつしかないアフラックなのです。

 また、思想を学ぶ上で、私は是非、ここ庄原の皆様には、ロシアの文豪トルストイから学んでいただきたいと思います。私は現在71歳であり、これからの余生は後世の人々に何が残せるだろうかと、いろいろ考え、思想・哲学の重要性を訴えてまいりたいと決意した途端、『トルストイを語る』という本の再編集のお手伝いをすることになりました。

 私は高校時代、俳句の月例会に参加しておりましたが、その仲間にここ庄原市出身の作家・倉田百三の妹の艶子さんがいらっしゃいました。そのご主人、小西弓次郎氏は、この書の著者小西増太郎氏の次男にあたります。その増太郎氏が日本人として唯一トルストイと親交を深め、昨年はトルストイ没後100年であったことから、増太郎氏の『トルストイを語る』の復刻編集されることになり、庄原で育ったといご縁からお手伝いすることとなりました。また、本年は、トルストイの聖書、そしてトルストイとともに共訳した『老子道徳経』が復刻される予定となっております。
 皆様には是非、トルストイから思想、哲学を。また小西増太郎からは全世界に雄飛する姿勢を見習い日本、そしてここ庄原に貢献して欲しいと願っております。

まとめ

 変化の激しい現代にあって、常に唯一の判断基準を確立することが重要となってきます。判断基準は正しさが鉄のオキテとなります。そして、社会にとって有益であること。(社会有用性)。行う事業と行ってはならない事業(社会から外れる事業は行ってはならない)
 利益は社会から与えられる報酬であります。
 今や企業においても、企業市民として視点をもたなければ、利益の追求だけでは誰も相手にしてくれません。
 アフラックは「民間厚生省」として社会的にお役に立つ会社として、お客様とともに成長させていただいたております。私は、アフラックの成功はどれだけ皆様のお役にたっているか、どれだけ有益な価値をもたらしているかということであると思います。これは皆様のお仕事に於いても全く同様であると存じます。
 このことは私が高校時代に出会った、大原幽学は「先祖株組合」を、二宮尊徳は「報徳者」を創設しましたが共に相互扶助の思想からなり、現在の日本における信用金庫、信用組合、農業共同組合の原点となります。

 アフラックもこれからと大変よく似た企業文化を有しており、企業市民として、社会使命を遂行するために努力し続けております。お陰様でこのたび、日本フィランソロピー協会の第8回企業フィランソロピー大賞に選定いただきました。

 皆様はこの高い志を受け継ぎ、この庄原で地域の皆様に金融を通じたサービスを提供されております。
 ですから皆様はあまねく「公」。私利私欲ではなく「おおやけ」にという精神のもと、お客様お1人お1人の生涯の面倒を見る、ご家族をサポートする、世のため人のための仕事。つまり社会に役立つ重要なお仕事をされているという使命感と誇りをもっていただきたいと思います。皆様のご活躍とますますのご繁栄をお祈り申しあげます。

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