執筆・講演

リッキー会  2011年1月21日

「アフラックの社会的使命と役割」

1.アフラックはお支払いするための会社
―保険会社の社会的使命は長い年月をかけて責任を果たすこと

 36年前にアフラックを創業し、お陰様で一昨年保有契約件数は2000万件を突破いたしました。
 私は、日本社を創業したときより、米国本社の創業者ジョンB.エイモス氏より「大竹君、アフラックはお支払いをするための会社だよ」と教えられ、常々そのように申して参りました。
 最初の10年間はその意味を理解できませんでしたが、給付金の額が増えるにつれてその意味がわかってきました。保険会社は契約者のためのもの、保険会社の社会的使命は「契約をいただいてからお支払いに至るまでの長い年月をかけて責任を果たしていくこと」だということです。
 その結果、2009年度にアフラックがお支払いした保険金・年金・給付金の合計額は4、179億円に達し、そのうち、がん保険では保険金・給付金の合計金額は2、977億円となりました。実に、1営業日平均12億円のお支払いをしている計算になります。創業以来、2009年度末までのがん保険の累計お支払い金額は4兆6811億円に達し、お支払い証券数は210万9705証券にのぼっております。
 このことは、まさに創業時、米国本社の創業者から「アフラックはお支払いするための会社だよ」と教えられたことが、実現できている、まさに社会のインフラ、民間厚生省としてお役に立てているのではないかと思います。

2.アフラックの成長戦略

 さて、今でこそ、このように社会に貢献できる企業となりましたが、創業当時は、今でいうベンチャー起業であり、全く無名の会社でしたので、信用補完、人材確保、マーケット、商品戦略は重要でした。実は昨年、創業35年目にして知ったのですが、免許をおろした大蔵省はアフラックは成功しない。2〜3ヶ月で潰れてしまうと見ていたらしいです。それほどまでに頼りない創業だったのです。ではどのように成長させたかと申しますと。

①信用補完
 まず、第一に社会の信用がありません。そこで銀行や信用金庫、マスメディアなど、社会的に信用のある大手企業の子会社、関連会社に代理店として登録いただき、グループ内企業の社員に販売していただくことで信用補完しました。

②マーケットは自分で創り出す
   アフラック創業時、日本の生保業界は既に100年以上の歴史を経ていましたので、同じ土俵で勝負すれば負けるに決まっています。小さなパイの奪い合いをしたところで、大きな利益は得られません。また、市場が大きければ、競争も激しく、小さな会社に勝ち目はありません。だから、誰も手をつけていない海・ブルー・オーシャンをいけばいいのです。そこで私は、「ブルー・オーシャン戦略」をとったのです。
 何故なら、既存市場:「レッド・オーシャン」で限られたパイを奪い合う熾烈な競争をするよりも、未開拓の市場、未踏の分野:「ブルー・オーシャン」で挑戦しよう。新たな需要、マーケットを掘り起こそうと考えたからです。自分で開拓したマーケットであれば、負けるはずはないからです。
 アフラックは最初の10年間「がん保険」で地盤を確立し、1985年に、世界で初めて「痴呆介護保険」を販売することで、新たなマーケットを創出しました。そして現在は「生きるための保険」のリーティングカンパニーとしての地位を築いています。

3.トルストイの思想に学ぶ

 思想を学ぶ上で、私は是非、ロシアの文豪トルストイから学んでいただきたいと思います。私は現在71歳であり、これからの余生は後世の人々に何が残せるだろうかと、いろいろ考え、思想・哲学の重要性を訴えてまいりたいと決意した途端、『トルストイを語る』という本の再編集のお手伝いをすることになりました。

 私は高校時代、地元の俳句の月例会に参加しておりましたが、その仲間に庄原市出身の作家・倉田百三の妹の艶子さんがいらっしゃいました。そのご主人、小西弓次郎氏は、この書の著者小西増太郎氏の次男にあたります。その増太郎氏が日本人として唯一トルストイと親交を深め、昨年はトルストイ没後100年であったことから、増太郎氏の『トルストイを語る』を復刻編集されることになり、庄原で育ったというご縁からお手伝いすることとなりました。また、本年は、トルストイの聖書、そしてトルストイとともに共訳した『老子道徳経』が刊行される予定となっております。
 皆様には是非、トルストイから思想、哲学を。また小西増太郎からは全世界に雄飛する姿勢を見習い日本に貢献して欲しいと願っております。

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